ミラーリングは有効なテクニックの一つ

近年、増加する認知症患者のケアを目的に、多くの介護施設がバリデーション療法を導入しています。認知症を患っている人とコミュニケーションを取る目的で使われるこのバリデーション療法は、基本的な行動にちょっとした工夫を加えることで効果を高めることが可能です。いくつかあるテクニックの中で基本とも言えるのがリフレージングです。認知症患者の話に耳を傾ける傾聴を行う時に、相手の発した言葉をリフレージングすることで考えをより深く知ることができます。この時に、声の大きさや会話のスピードを相手に合わせるのがポイントです。いつ、どこでなど質問形式で回答の選択肢が広くなる質問形式で返答をしてあげるとスムーズに会話ができます。

会話だけでなく、行動の中にはバリデーション療法を高めるテクニックがあって、その一つがミラーリングです。これは文字通り合わせ鏡の状態になるように相手の正面に立って、表情や姿勢を真似るという方法になります。一見すると効果がなさそうにも感じられますが、仕草を合わせることで感情を共有するのが狙いです。ただし、ミラーリングは自我を保てている軽度の症状の人に行ってしまうとふざけていると勘違いされてしまうこともあります。そのため、利用する相手をしっかりと見極めなくてはいけません。そのほか、頬や首筋を撫でるタッチングと呼ばれる動作も、感情を共有したり相手に安心感を与えることができる効果を高める有効なテクニックの一つです。